· 

久保みどり:”共感覚”で悩まない はないろキッズを救う高松にIターンした女性

久保さんは、香川県高松市内で発達段階や感覚が多様子どもたちの事を「はないろキッズ」と名付け、子どもたちの理解のサポートを行う研究事業を行っています。

 

大学卒業後は東京都内で特別支援学校等で講師として勤務していましたが、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、一般的な場所で特徴ある児童を見るのではなく、個別的に子どもたちと接したいと考えるようになります。

 

そして当時在住していた東京都内で親子教室と個人塾を開設し、2016年には旦那様の故郷である高松に家族で移住。現在の活動を開始します。

 

これまでに1000人を超える親子と接してこられています。

気付かれなかった共感覚。苦しんでいる子どもがまだまだ潜在している。

数字や物に付随して色や音などを知覚してしまう「共感覚」は、普段の生活における支障はないものの、児童や学生にとっては学習の妨げになってしまうことがあります。

例えば、学校の教師が白のチョーク以外で書いた黒板の文字や数字が、自身の捉える数字の色と相違した場合、頭の中が「ぐちゃぐちゃになる」と表現するほど混乱してしまうのです。

 

久保さんご自身も共感覚の持ち主で、久保さんは数字の「1」と赤色がマッチして見えていた為、赤文字で書かれた「1+1」は2でなく1のように感じてしまいます。

本来何の変哲もない計算問題も、「はないろキッズ」にとっては頭の体操に使われる様なクイズ問題に見えてしまうのです。

 

共感覚は自身で気付くことも家族や周りの大人に気付かれることも少なく、個性的な子としかとらえられる事はない場合が多いのです。

また、共感覚は人によって異なり、文字や物・「痛み」等の感覚をどのように感じるかは人それぞれで、その感覚も変化したり成長と共に消えてしまう事もあります。

 

久保さんが共感覚に気付いたのは高校3年生の頃で、それまでは勉強が出来ない個性的な子どもとして自らも理解していました。

もっと早く理解していれば、また気付いてくれる大人がいればここまで苦しむことはなかったのにと後悔することになりました。

 

 

高松での活動。知名度も資金もない中でどのように成長したのか?

「はなはな*みかん」は、共感覚を持つ子どもたちがより多彩にそしてスムーズに学習できるようサポートすることを目的としています。

 

大学生当時、教育学部に進学した久保さんは、必須科目であるピアノ演奏に大変苦労することになります。

その時は久保さん自身の共感覚はだいぶ薄れてきていましたが、楽譜に色を付けて演奏する曲を何度も聴くことでイメージを定着させて、共感覚の持ち主ならではの手法でなんとか演奏をすることが出来たと言います。

今まで煩わしかった共感覚が十分に活かす事ができたのです。

 

この経験をもっと早くから行えば、多様な子どもたちが悩むことなく生活して成長することができるのではないか?

こう考えて現在の活動を行うことになるのです。

 

 高松に移住してきた後は知名度の向上や活動資金が無い事に悩むことになります。

東京でやってきた個人塾での実績を高松に持ってくることはとても難しいことでした。

 ただ努力の結果、香川大学の「ビジネス&パブリックコンペ」に応募、見事グランプリに輝き賞金を手にします。その他日経新聞など多くのコンペなどで優秀な成績を手にすることで知名度を向上させ、活動初期資金を獲ることに成功します。

 また、これらによる人脈形成から大学監修を受けるなどすることで信頼も獲ることに成功、研究助成金などで運用化、具体的な研究にまでこぎつけたのです。

 

 久保さんが開発した教材「みるみるメソッド」は、十人十色な”はないろキッズ”のためにカードや音楽、YouTube動画なども利用した複合型の教材です。

 

 使用するはないろキッズに合わせて、どのように感じるのかを見極めたうえで適切な理解のサポートを推進します。

 

 

 

はないろキッズが苦まない、多様性のある世の中へ。

 今後は久保さんが開発した「みるみるメゾット」の本格的な商品化、そして教材販売会社を通じて特別支援学校や幼稚園などを含む全国の学習施設で販売が出来るようになります。

 また、香川大学教育学部と連携して、「みるみるメゾット」のアプリ開発などを推進していきたいということです。

 より教育現場に浸透させることで、たとえはないろキッズであることに気付かなくても無理なく成長できる機会が与えられる可能性があります。

 

 子どもたちには無限の可能性があると言いますが、それはどんな人にでも何歳であろうと無限の可能性はあるのだと考えています。

 

 

それは久保さん自身も同じで、今後も多くの学修や研究を重ねていきたいと言います。


取材はZOOMを利用して行いました。

インタビュアー紹介ページはこちら


新開祥子

徳島県出身。新体操の審判資格や保育士の資格を持つ。ケーブルテレビ等のメインキャスターを務めるなど多彩に活動。