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【コラム】丹聡:命の灯が消えるまで!舞台や声優の枠にとらわれず「表現者」として挑戦し続けたい

今回ご紹介するのは、20代の頃から舞台を中心に俳優・朗読・ナレーション・映像と幅広く活動する『丹聡(たんさとし)』さん。

自身が俳優等として活躍するだけでなく、俳優から一般の人までに向けた演技のワークショップで講師も行っています。

 

丹さんが広くワークショップを展開するのは、いわゆるあがり症を克服したい方たちの「俳優みたいにできたらいいな」という想いを叶えたい気持ちからだそう。

 

丹さん「舞台俳優のように緊張せず話せたらと思うかもしれない。でも俳優だって緊張する。じゃあ極度に緊張しないのはなぜか、というのを細かく伝えます」

 

丹さんのワークショップは少人数制。

その理由は参加人数が増えると、丹さんが納得する授業の質・量ではなくなってしまうため。

 

丹さんはわからない人に寄り添う、密な授業を目指しています。

 

 

 

 

学んだことは惜しみなく伝え、自分も学び続けたい

舞台・声優などにとどまらず、さまざまなジャンルへ挑戦・活動する丹さんは、経験と情報の宝庫。

しかし人になにかを教えるときは、自分の学びの引き出しが空っぽになるまで、惜しみなく学んだことを出力するそうです。

 

丹さん「俳優さんに教える演技法は道具でしかない。自分の引き出しを見せて、誰かにとってこれなら自分も使える!と思うものが見つけられたらいいじゃないですか」

 

 

丹さんはほかにも、自分の引き出しが空になるほうが、もっと吸収しなければと学び続ける気持ちになれると話します。

 

 

 

講師やイベント企画者になるきっかけは自分が不器用だったから

貪欲に学んで吸収しさまざまな活動をする丹さんは、表現者としてだけでなく、講師やイベント企画者でもあります。

丹さんが講師や企画者をはじめたきっかけは「自分が不器用だったから」。

できない自分だったからこそ伝えられることがある、若くて悩んでいる人は早く学んで自分より上に行った方がいい、という考えで講師を始めたそうです。

 

そしてワークショップの講師として丹さんがよく伝えることは、「考えるのはいいけど悩むな」ということ。

 

丹さん「みんな過去の失敗にとらわれたり、未来の評価を考えてプレッシャーを感じたりすることがありますよね。でも誰だってミスはする。どうリカバリするかが問題だから、悩みすぎるのはもったいない」

 

過去と未来に縛られず、物事を順序立てて考えてほしい。試行錯誤して取り組んでみて、うまくいかなくてもそれは失敗じゃなくて経過、と丹さんは語ります。

 

丹さん「とくに芝居って、もっと楽しいもんだから。真剣にやっても深刻にはなんないでってよく言います。深刻になっちゃうと芝居をするのが楽しくなくなって、苦行になってしまうんです。」

 

丹さんのこれらの言葉は役者に限らず、考え込んで立ち止まってしまいがちな人たちに響く、救いの言葉かもしれません。

 

 

 

曲が気に入って見たアニメで号泣…声優に憧れるきっかけに

丹さんは声優に憧れたことがきっかけで、現在のお仕事をされています。

お話を伺うと、高校受験前までの丹さんは漫画好きの少年で、ご実家には千冊を超える漫画があったそう。

 

受験のため物置に漫画を封印していたところ、漫画の価値を知らないお母様が、丹さんの大切な漫画をトイレットペーパーと交換してしまったとのこと。

大きくショックを受けた丹さんは、高校時代からアニメに夢中になっていきます。

 

丹さん「某アニメショップで流れてた曲が気になって。曲を知るためにアニメのビデオを買ったんです。そのアニメでボロ泣きして…それまで、アニメを見てここまで泣いたことなかったので、声優さんって職業があるんだ、凄いなと思いました」

 

その後丹さんは、大学受験が通らなかったことを機に、以前から気になっていた専門学校へ。

専門学校では演技科から声優科に進んだことで、「舞台を目指すんじゃないの」と驚かれたそうです。

 

この時代からすでに、丹さんの広く学んで技術や経験を得ようという姿勢・探求心が伺えます。

 

 

 

朗読から「原作を読みたい」と思うきっかけをつくりたい

丹さんが今後目指す活動を伺いました。

いろいろやってみたいと視野の広い丹さんですが、今のところ一番力を入れたい企画は「朗読劇」。

 

丹さん「本は斜陽って言われるけど、活字に慣れてない層がいる。朗読を聞いて、すごいいい世界感!原作読んでみよう!って思ってもらえるきっかけになるといい」

 

たとえばオンラインではなく対面カフェ等で、作家さんを交えたイベントを開き、チケット付きのサイン本を販売したら――。

ファンに本が売れるだけでなく、ほかに朗読を聞きに来た人たちに作品の「原作」を知ってもらえる。朗読をきっかけに誰かが「続編が気になる」と思ってくれるかもしれない。

 

そんな考えを持つ丹さんの夢は、ハリウッドのドラマや映画に出演し、その作品に自分でアフレコすること。

 

丹さん「僕はいつも物事を多角的に見るようにしてるんです。いろんなことを学んだぶんだけ、自分の表現や経験の幅が広くなるので」

 

 

丹さんは現在、ボイスドラマの演出も手掛けているそうです。飽くなき探求心で果てしない挑戦を続けます。


ライター:ひざに矢緒 

Twitter https://twitter.com/hizanyao

 

梨田いづみ

大阪府出身。イベントMCを中心に、コミュニティFMのラジオパーソナリティを長年務める傍ら、舞台女優としても活動。