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【コラム】神谷明奈:声の仕事が好き。誰かが喜ぶ顔が見たい

声優・ボイストレーナー 神谷明奈
声優・ボイストレーナー 神谷明奈

声優、ナレーター、ボイストレーナーとしてご活動されている神谷明奈さん。

 

声のお仕事だけでなく、舞台やモデルなどの活動も行っておりマルチにご活躍されています。

 

神谷さんが声優という一般的ではない職業を目指すことになったきっかけや、お仕事をしていく上で神谷さんが大切にしていることなど、たくさんのお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 


きっかけは『名探偵コナン』のエンドロール

小学校1年生のころ、アニメ『名探偵コナン』が大好きでよく観ていたと言う神谷さん。当時好きだった声優はコナン役の高山みなみさんでした。

 

ある日、いつものようにアニメのコナンを観ていると、エンドロールで自身の名前と一文字違いの「神谷明」と言う名前を見つけます。

 

この人は誰?

 

確認してみると、毛利小五郎の声優さんでした。自分が好きなアニメに自分の名前と一文字違いの声優さんが活躍していることに縁を感じ、その時から声優になりたいと思うようになったそうです。

 

高校を卒業したら声優の専門学校に行きたい

 

親御さんに相談しましたが、「大学は出てほしい」とお願いされたため進学することに。

声優への思いは大学生になっても変わらず、大学に通いながら少しずつアナウンスや地方ラジオのリポーターなど声優としての活動も始めました。

 

幼いころからブレずにひとつの夢を追う神谷さんを見て、親御さんも声優になることを理解してくれたのだと言います。

 

 

 

 

 

 

舞台で届けるのは声だけではなく、「その人の日常」

舞台俳優としてもご活躍されている神谷さんは、『コーヒーが冷めないうちに』という作品に2度出演されています。

 

1度目の出演は知人からのお声かけがきっかけだったそうです。

出番の少ない役に「誰か出てくれる人はいないかな」と探していた知人の方に紹介されたそうです。

 

2回目の出演は、1回目の出演とは別にやってみたい役があったとのことで、オーディションを受けて通り出演。希望の役ではなく、なんと主役級の役に抜擢されました。

 

 

舞台俳優と声優の違いについて、

「『コーヒーが冷めないうちに』に出演する前にも何度か舞台を経験したことはありましたが、違いはないと思っていました。」

と語ってくださった神谷さん。

 

しかし、『コーヒーが冷めないうちに』の演出家である川口俊和さんに言われた言葉で考えが変わったのだそうです。

 

演出家から、声の出し方や息遣い、活舌が他の出演者の方と違い、浮いてしまっていると指摘されました。

神谷さんは声優なので、「遠くまで届くように」と考えながら発声していたのですが、

 

「日常を切り取った感じを演出したい。遠くまで声を届けようと思わなくていいよ。」

 

と言う言葉を聞き、

「舞台は声だけじゃなく、その人の人生を演じるものなのかな」

と考え直したのです。

 

 

 

 

 

生活のすべてを声優のための糧にする

声優やナレーターのお仕事はセリフが決められていることも多いですが、実はアドリブでの収録もよくあるのだそうです。

そんな時は自分の中にどれほどの引き出しがあるかがとても重要になります。

 

例えば、メインの人物以外の周りにいる人たちの会話をアドリブで収録する『ガヤ収録』というものがあります。

 

ガヤ収録は、事前に自分が会話をする相手も知らなければ話す内容も決められていないとのこと。

ブース内で隣になった人といきなり会話を始めるのだそうです。

誰かが話し出したら相手もそれに合わせて会話を進めていくので、言葉やキャラクターのボキャブラリーがないと難しいのです。

そういった引き出しを、神谷さんはどうやって作っているのか。

 

 

「今はコロナ渦で難しいですが、いろいろな場所に行き、リアルで感じることです。

その場所にいる人の会話や話し方だったり、雑音が大きい場所と静かなカフェとで自分の声の出し方がどう違うのかだったり…

そういうのを実際に感じて、引き出しにしまっておくんです。」

 

 

 

どんな時もアンテナを張り、声優のための糧にする。

神谷さんの強い意志を感じました。

 

 

 

 

 

誰かの喜ぶ顔が見たい

収録があってもコロナ過で人と会う機会が少なくなり、制作側や出演側の熱量を直接感じられなくなってしまったことに寂しさを覚えると話す神谷さん。

 

「コロナ前は収録現場にクライアントさんも来ていたんですが、最近は感染防止のために来ないことも多いです。

収録も出演者が1人ずつブースに入って録るという感じで…

録り終えた後、クライアントさんや出演者の皆さんが『お疲れ様!』『良かったー!』と喜んでいる顔を見ることで自分も頑張れていたんだなあって思います。」

 

声の仕事がしたくて声優になったけれど、声優として誰かを喜ばせることにやりがいを感じていたことに気付いたのだそう。

今後もアニメや吹き替え、ナレーションなどのお仕事を通し、声優として今までよりたくさんの人を喜ばせたいと語ってくれました。

 

 

 

 

 


川越みほ

大阪府出身。府内大手テーマパークでスタッフとしての勤務経験があり、現在は関東圏を中心に声優として活動。