· 

もったいない から ありがとう へ。フードバンクって何⁉

NPO法人 フードバンクとくしま 佐伯雅子


フードバンク とは

 フードバンクとは、その名前の通り「食料の銀行」。必要でなくなったり食品ロスとなったりしたものの、賞味期限などに問題のない食品を、個人法人問わず募集し寄付を募ることで、貧困に悩む方に食品を提供できるようにする活動に活用する取り組みの事を言います。

 活動は日本全国で行われており、その知名度は高く信頼ある活動として認められています。


フードバンク活動の始まり

活動をアピールする事への苦悩

フードバンクとくしまは、本会員と賛助会員から成り立っています。活動は本会員や賛助会員より会費を頂くことで成り立っていますが長い間音信不通にしたり、徳島から県外に出ていく方などもいたりするなど、満足に活動費を集めることができていませんでした。

 

会費を徴収するにあたっては、活動内容を詳細に伝える必要があり、開始当時に経理を担当していたという佐伯さんにとっては慣れない難しい仕事でした。

 

どのように話そうか。何をアピールするのか。自身のことを「不器用」と表現するほど営業が苦手で、人との出会いを満足に活動へ生かす事が出来ない事や、実際の活動にはほぼ参加することのなかった佐伯さんは実体験が薄く、活動の魅力をアピールする事がとても難しいものであったのです。

 

 

ですが不器用なりに出来る事があるが信じ、誘われた輪の中には積極的に参入し、二度会うより三度会う。三度会うより四度会うというように、人との出会いを大切にすることで、現在では200名を超える会員を抱えて活動をされておられるのです。

 

 


フードバンクとくしまの特色は?

「もったいない」から「ありがとう」へ。というフードバンク共通理念のもと、生活自立困窮者への自立支援を行っているのが、フードバンクとくしま最大の特徴です。中間的就労の場を創造する活動を行う活動をするなど、最後のセーフティーネットとなるような貧困者向けの活動をされています。

 

中間就労とは、今まで自立が困難であった方が急に企業等に就職する事は困難であることから、企業に就職できるような心身の環境を整備できる就労形態のことを言います。

 

 

所有する100坪の丁度良い農場には、ブロッコリーや玉ねぎ、ジャガイモなどの多種多様な野菜が植わっており、生活自立に悩む方が生き生きと活動できるような環境整備がなされているのです。

 

 

また、徳島という地方都市であるということからか、提供される食品は個人より飲食店や食品関連企業などの法人が多いのですが、それは一回当たりの量が多いからであって、顧客数や食品のバリエーションは個人の方が多いのだそうです。

 

例えば田舎の方がお米を持ってきて下さったり、お中元やお歳暮の時期が過ぎると、食べないギフトを持ってきてくださったりするそうで、その届いたものを見るだけでも楽しそうです。

 

 

コロナウイルスの影響で起きたこと

食品提供量が増えたように感じ、生活に困窮する方が増加したのではないかと感じていると言います。

もちろん個人の変化のみならず、食品を取り扱う企業が難しい需要予測に失敗しロスが増えたために、今まで交流すらなかったような企業から食品提供の連絡が来たとも言います。

結果として扱う食品量が増えたのです。

 

また子ども食堂に関しては、子ども達が集まる活動を行うかどうかから考える必要があり、必要性にかられる中でもその開催を躊躇する日々が続きました。

 

安価や無料で食品を提供する子ども食堂は、会場となる公民館等で飲食を禁止されたり、保健所などから環境整備の必要性を迫られたりと、資金面で余裕のない活動である中で財力の必要な改革を迫られていました。ただでさえ展開数が少ない徳島県内において、開催を中止するということは必要な支援が届かなくなるかもしれない。これにはとても苦慮したことでしょう。

 

 

フードバンクとくしまでは、2019年秋に寄付金でキッチンカーを導入して全県を周り活動を行う計画を立てていましたが、コロナウイルスの影響で不用意に移動が出来なくなってしまいました。キッチンカーは代用として子育て支援の為に使用していると言いますが、フルにその能力を発揮するに至っていないのが現状です。


告知活動と偏見による課題

告知活動は主につきに1回のニュースを出す事や、FACEBOOK等を活用したことでその活動域を広げていらっしゃいます。ただ、活動を知ってもらおうという告知活動には重点を置いておらず、「子ども食堂」へ一回行ってみようとなるような活動をされています。

 

これは日本全国で84%という高い認知度を誇りながらも、一回行ってみようとはならない点が大きな課題であるからです。本来は地域にいるすべての子供たちが参加して良い物であって、そこをアピールしていく活動に重点をおいているのです。

 

また、ボランティア活動に興味のある学生等と共に徳島県中を回ったこともあるといいますが、活動をしに来る=自分たちの街に貧困者がいる と捉えた住民の方が、ボランティアで回る事に抵抗を示すこともあり、その活動はけっして円滑とはいえないのが現状なのです。

 

 

最後に…

人との出会いはとても重要です。人と会うと結果として自らの学びになることが多く、例えば活動との関連性が薄いと思われるような場であっても、まわりまわって自らの利になれば良いという考えのもとで活動をしています。

 

いま子どもの貧困は7人に1人と言われています。そんな多いのにも関わらず街中で「この子貧しそうだ」と思う子どもを見ないのは何故なのでしょう。

海外のストリートチルドレン等とは違い、お金の問題で進学や趣味への投資、修学旅行等課外活動への参加が出来ないといった、「隠れ貧困」が多いからです。

 

フードバンクや子ども食堂といった活動は、衣食住の最低限の生活をギリギリで回す家庭の経済を少しでも余裕のあるものにしてあげる事だと感じました。

 

 

また、自身の親や学校の先生以外にも多くの子ども、大人と接する機会が得られる「こども食堂」は、こどもにとって多くの経験が得れるものです。親が医師をしている男の子と工場勤務をしている親の年齢も違う女の子がどうやって出会えるというのでしょうか。語彙力や多様性を考えさせる経験になるのです。


フードバンクとくしま:https://foodbank.roukyou.gr.jp/