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【コラム】ひとつむぎ:”ひと”と”ひと”をつむぐことから 生まれる教育やまちづくりを目指して

ひとつむぎ 顧問大西さま 学生代表野田さん

 

 

 


徳島県南部にある牟岐(むぎ)町を拠点に、教育やまちづくりの支援を通じた地方創生を目指して活動するNPO法人ひとつむぎは、徳島や関西在住の大学生が主体となり事業の企画、運営を行っている教育支援団体です。

 

 

牟岐という交通も不便で大学のないエリアで、大学生が中心に児童を相手に教育支援を行なっているのですが、一体どのような過程でこの活動を始めるきっかけになったのでしょうか。

 

 

牟岐の人達に恩返しがしたいという思いで立ち上げた「ひとつむぎ」

 

 

2014年の夏、牟岐町で国際交流プログラムとして国内外の大学生による「HLAB徳島サマースクール」が開催されました。そこに参加した大学生たちがお世話になった牟岐の人達に恩返しがしたいという思いで結成したのがきっかけだそうです。

 

 

スタート当初の活動はお年寄りを和まそうと柚子狩りや出羽島でのイベントの参加などを行っていました。

 

 

2015年の春休み、イベントに参加していた大学生が牟岐町に滞在し、職員の娘さんの家庭教師みたいなものを行ったのをヒントに、大学生が中学生向けのプログラムを行なったのがきっかけスタートとしたのが「シラタマ活動」です。

 

さらにシラタマ活動で参加した中学生たちが、高校生になっても集まれる場所や機会を求め始まったのが高校生向けの「ローカルハイスクール」へと繋がり、現在の活動に至ります。

 

 

 

 

 

 

ひとつむぎの特徴

インタビュアー:新開祥子(左上) 活動学生:野田さん(右上) 顧問:大西さん(下)

 

 

 

 

 

数ある支援団体の中でひとつむぎが他団体と異なる点は、大学生が中心に動きながら、自治体とタイアップして、県や行政関連の事業をしっかり掴んでやってきた団体だということです。

 

 

行政と上手くタイアップしながら大学生が歳の近い高校生や中学生と関わっているのが大きな特徴になります。

 

また交通の不便な牟岐でどのように大学生が集まりだしたかというと、インターネットやSNSではなく口コミによる集客によるものだそうです。

 

 

勧誘活動としては、自分たちが通う大学サークルにスタッフが活動紹介し、ひとつむぎに参加するケースが多いそうです。また高校生の場合は徳島県の若者向けセミナーを開催し、そこに関わったメンバーと同級生がひとつむぎに入るなどしています。

 

 

野田さんも高校2年生の時、クラスメイトと「シラタマ活動」に参加し、そのクラスメイトからひとつむぎに関わってみないかとの誘いからスタートしたそうです。

 

現在、ひとつむぎの活動拠点は牟岐町がメインで、スタッフ人数は14名ほどいるということです。

 

 

 

 

 

 

コロナ禍での課題

大学生たちは教育支援を「対面」でやりたいという意識で参加してきていますが、コロナの影響で思い通りにならないところをどう柔軟に対応するのかが課題となりますよね。

 

 

「これからどうやって環境に合わせ、先の事を考えて動けるか。勝負の時期になるのではないかと」大西さんは言います。

 

 

さらに、コロナ禍でオンラインへの取り組みは1番手っ取り早い方法になりますが、当然ながらこの後に「対面」の活動も必要になってきますし、さらに世の中のコロナへの対応が変わった時に、いかに早く判断し柔軟に対応できるかが重要になると。

 

 

コロナ禍で子供たちは外で遊ぶことや人との関係を持って過ごす時間が一層少なくなっております。スマホ片手にゲームやYouTubeを観ている時間が圧倒的に増えてきています。

 

だからこそ人と人との関わりのあるような教育は残していかなければならないのです。

 

 

ただ残すことだけにこだわり、従来のやり方だけになると大学生にとっては面白くないものになってしまいます。

 

まずはできることからやっていくことが重要で、今までの常識、先輩が残してきた成果や歴史を意識することなく、今の時代にあったやり方で、メンバーがどうやって楽しく、手触り感があるような事ができるかを考えて欲しいそうです。

 

 

 

 

 

 

 

今後の展望について

「自分の欲求に素直であって欲しい」と大西さんは言います。

 

大学生が背伸びをして無理やり辛いことをやっていてもきっと長続きはしない。

 

限られた学生生活の中で、同じ教育支援でも、家庭教師や塾講師ではお金が入ってくるのに対して、ひとつむぎの活動をしても一銭もお金が入りません。

 

そんな中で人との気持ちの伝わりや中学生、高校生たちの成長、自分自身が地域で認められるなど、お金ではない価値。すなわちその欲求に素直に取り組んでいく。

 

そのことが今コロナでおこっている教育や地域の課題に一石を投じていけるのではないか。

 

 

 

街の人たちにとって子供達が元気で、その子供達が大きくなり街を出て行っても何らかの形で街に関わり続ける。子供達への教育支援は直接的にお年寄りや地域の課題には当たらないかもしれないが間接的に地域全体に活力を与えていくことにつながる。

 

ひとつむぎの最初のメンバー達はその目的で取り組んでいたし、そのDNAは若い世代に引き継がれています。

 

 

最後に「コロナ禍でなかなか新人勧誘ができていないので、地域とか子供とかに興味があり、関わってみたい方は歓迎します」と野田さん。

 

 

「関わる人が少しでも増えてくれることがありがたいことなので、片手間でも構わないので関わってくれる方、もしくは田舎の教育を見てみたい都会の方が関わってくれるとうれしいです。」と大西さん。

 

 

これからどう変化していくか。ひとつむぎの活動に期待したいです。

 


NPO法人ひとつむぎホームページ https://hitotsumugi.org/

新開祥子

徳島県出身。新体操の審判資格や保育士の資格を持つ。大阪府内ケーブルテレビの番組キャスターや大手乳製品テレビCMに出演するなど活動。